来年度の卒研のテキストを何にしようか、とこの時期になると考える。過去には高木貞治「初等整数論講義」や小野孝「数論序説」及び著者による英訳、Ireladn and Rosen “A classical introduction to modern number theory” などを使っていたが、高木貞治の本は読みづらい、洋書は和訳してくるだけで行間を埋めてこないなど、どれも帯に短したすきに長しなので、非常に困っていた。が、最近いい本が出版された。
青木昇「素数と2次体の整数論」共立出版
易しそうに書いてあるし、ちゃんと群、環、体の言葉を使って整数論をやっているし、ガロア理論を理解していなくても大丈夫など、ざっと見た範囲では文句ない。来年度はこれで試してみよう。
さて線型代数のテキスト選びだが、こちらも難攻している。今年度使っているテキストは、分厚いのだがスカスカな感じで、一回につき10ページくらい進んでしまう。それに連立方程式がベクトル空間の後にある、というのが非常に困る。一次独立かどうかの判定などは、連立方程式を使う。が、これが後回しになっているせいで、「これを解くと」とか非常に困る一言が書いてあったりする。もちろん連立方程式くらい高校を卒業してきた学生は、一生懸命やれば解けるんだが。で来年度は変えようと思って色々見たんだが、難しすぎる、肝心なことが書いてないなど、どれも帯に短したすきに長し。とりあえず裳華房のページを見て、1冊適切そうな本があったので、献本してもらうことにした。これも駄目だったらどうしような?先輩の執筆中の本の原稿を送ってもらったのだが、これは行列式の所がちょっと群論をやるのに困る(要するに対称群を使わないで理論展開している)ので、避けたいところ。さてどうしたもんか。シラバスの締め切りはいつなんだろう?