2013年10月9日水曜日

初等整数論からの暗号理論入門

水曜日は大変である。12時10分まで「暗号理論」の講義。12時15分頃教職員食堂に着いて、とんかつを注文して出てくるのが12時25分頃。小生幸い早食いなので、12時35分には食い終っている。そして部屋に行って、10分くらいボーっとしてから、はるか遠くコラーニングIIまで10分くらい掛かるため、13時からの数理科学科の線型代数の講義に間に合わせるため12時50分くらいに部屋を出発。4階まで歩いて登り、ベクトル空間の話。1時間半汗みどろになって講義して、また自分の部屋に戻るため蒸し暑い中10分歩き。着いたころには気力が失せ果てていて、とても何かしようなどという気が起きない。こんなのがあと13週間もあるのかと思うとぞっとする。あー、水曜日は嫌だ。

しかも今日は会議があった。で来年度の講義担当の仮決めという重たい内容があったので、もう疲れ果てた。明日も朝からゼミだし、今日くらい早寝しよう。

さて来年度の担当講義だが、ここ数年全学役職で忙しかったI先生が来年度から復帰されるので、代数のコマを数コマ持っていかれてしまった。で何か解析と幾何とコンピューターの講義ばかり残っているので、小生の出る幕がない。しかしある程度以上はやらないといけない。で来年度もまた暗号理論をやることになった。うむ、今年の貯金が活かせるかな、と思ってほっとしたが、まだ持ちコマが足りない。「複素解析学続論」という4回生の科目が残っていたので、I先生が「やったらどうですか」と推してくれた。うむ、これはいい。今年学生に楕円曲線のゼータ関数や保型形式のことをやらしているし、中途にリーマンゼータ関数の解析接続の話とか関数等式の話が出ていて大分勉強になったし、来年度はこれを…・。と思っていたら、他にもやりたがる人がいて、その人は解析のプロだから譲った。さーて、じゃあ代わりに何をしようか、と思ったら悪魔(教務委員)の囁きがあり、何やら文系の学生に数学を教える羽目になってしまった。今年担当している人に聞いたら、何やら暗号の話をした、と言う。「丁度いいじゃないですか。準備の時間いらないじゃないですか。」と。文系の大学生に数学を教えたことは実はあるのだが、その時は数学科の学生に教えるようにガチガチに証明を付けて話してしまったので、評判が悪かった。今回はその反省の下、具体例からアイデアを見つけ出し、定理を定式化して、場合によっては証明しない、という方針で行こうかと。ただ暗号の話をするのはいいんだが、数理の4回生のようにオイラー関数もオイラーの定理も何もかも教えた後に暗号を教えるわけではないので、まず初等整数論からいかないといけない。群、環、体の使用は避けよう、ということになると、高木貞治「初等整数論講義」のように素朴にいかないといけない。が、これが実は小生苦手なのだ。大学1年の時の「数学概論A」というタイトルの科目を足立先生に教えられ、内容は「抽象代数からの初等整数論入門」だったから、群、環、体を教えられ、その後それらをフル活用して初等整数論をやる、という勉強の仕方で初等整数論を小生は勉強したのだ。さらにその後友人とヴェイユの「初学者のための整数論」を読んだからなおいけない。この本も代数系をフル活用して初等整数論をやっている。困った、どうやろう、などと考えていたら、和田秀男先生の「数の世界」と「コンピューターと素因子分解」が出てきた。そうだ、この2冊も読んだな。ということは代数系を使わない初等整数論も勉強したんだな。ここは1発、大学2年生当時に戻ったつもりになって、和田先生の本を勉強して臨もう。うん、それがいいや。とにかく来年度は暗号と初等整数論の勉強を一からし直そう。などと書くと今年度の暗号理論はもういいや、というように読めるが、もちろんそんなつもりはない。後13週間かけて来年度の準備のつもりでじっくり取り組みます。

でまんまと来年度は線型代数を担当しなくてよくなった。主任が「いやここは是非経験者に引き続きやっていただかないと」とおっしゃていたが、何のかんの理由を付けて逃げた。そう、後数年で行列を知らずに理工学部に入学する学生が出てくるのだ。その前に逃げておかないと痛い目に会う。その時に成って逃げ出すより、数年前に逃げ出しておかないと。誰かが道筋を付けてくれたら、その後を襲ってうまうまと真似する、という計画はどうやら成功した。ガッツ。

先週卒研のガイダンスをしたんだが、1週間誰も何も言ってこなかった。ということは来年度は卒研生0か、と恐れていたのだが、ふたを開けたら3名。良かった、これで他学科の線形代数は担当しなくて済む。しかしすごいのはI先生である。上述の如く大学の役職で忙しく、ここ数年全く講義を持っていなかったので、学生は先週初めて会ったはず。なのに卒研の志望者は19名!小生は講義で性格の悪さを見抜かれていて、I先生は非常に物腰柔らかにガイダンスをして「楽しくやりたいと思います」などとおっしゃていたから、整数論志望者は完全にI先生の方に流れたな、という感じ。小生もゼミは楽しくやるんだよ。何しろ小心者だから、大勢の前では堂々とできるんだが、少人数相手だと目を見ながら話さないといけないのでおどおどしてしまう。だから少人数ゼミの方が小生は物腰が柔らかいのだが。1対1?一番苦手。ほぼ無口になる。だからいまだにひとり者なんだがな。